車輪の上で
妻とふたり 演劇を觀るために 劇場の扉を開けて入ると 闇の中から 案內放送の声だけが聞こえる
市民の皆さま 今、三人の凶惡犯が 市內にしのび込みました 彼らは良心强奪犯で 死刑宣告を受けて服役中 今日の正午、刑務所の塀を越え 脫走しました 市民の皆さまは直ちに帰宅し ドアをしっかりと閉めて 良心をきちんと守ってください 彼らの印象着衣は 次の通りです 四十を過ぎた中年の男 彼は馬のような顔をしています やせている方でも太っている方でもない ただ適当に丈夫な体つきで 名前はマです 六十になるかどうかの男 彼は比較的太っていていて 頭ははげており 目が大きいのが特徵で 名前はウです 二十代に入ったばかりの靑年 美男スタイルで行動が素早いです 彼らを目擊した方は 近くの交番や 警察署に届けてください
放送の音に混じって 機關車のエンジン音が聞こえる 間もなく鐵の門が開く音 何やらぽとりと落ちる音 闇の中でくすくす笑う聲 突然懷中電燈に照らされる 音がぱったりと止む 灯りがとぼとぼと舞台に上がり 左右に照らして見る 灯りがちらつく 彼は懷中電燈をパタパタ叩き 自分の顔を照らす 初めて乘務員であることが分かる もう一度左右を見て退場 ドアががらがらと閉まる音 またくすくす笑う聲 機關車が徐々に動く その音はだんだん高くなり 高まりを成してからゆっくり低くなり BGMに敷かれて微かに 舞台の輪郭があらわれる
マがのっそりと這い出て かぼちゃが蔓ごと落ちた これが卽ちかぼちゃというものさ ウも這い出て いや、かぼちゃは丸いのさ こんなに角張っていない これよりずっと小さい マがそのトランクの上に座り まだ垢が剥けずにいる 腐った臭いのする表皮を 剥けないでいる あっちに行けあっちに行け ウも背を向けて座り 故鄕までどれだけかかるんだ そんなこと知って何になる 俺達の精神は故鄕にある 今それを取り戾しに行くんだ クが急に立ち上がる マとウが、驚いて飛び跳ね 座りこむ クの言うことが正しい、そうだろう? そ、そう、 そうかもしれない 待てよ、クの言うことも間違っている 取り戾すということは また戾ってくるという意味も含まれている いや、俺はもうずっと故鄕で暮すんだ そうだ、そうだろう。 俺達はずっと故鄕で暮すんだ この機械の國よりは 水も風も空もすべて澄んでいるはずだ そこには陛下もいないだろう 陛下って何だ? 機械が正に陛下さ 俺らは彼の民だった 陛下よ、死藥を受けて死んだ 俺の親父の一生を返せ かつらをつけてしのび込んできた闇を その系列を探し出せ マ、ウ、ク、三人で 探し出せ
三人は互いに顔を見合わせた後 手の平を打ち笑う ふと止む トランクを中心に體を丸め 轉がりながら廣がってはまた集まる 故鄕までどれくらいかかるんだ? 闇の果てだろう すごく遠いって 俺も一度も行ったことがないから 良くわからない もう出發したんだから 停車するところがそこだろう 違う、そこは簡易駅だ この汽車も休まなきゃならないだろう? 腹を突き出し妊婦のように 女が乘るかも知れない 俺達はその女を乘せよう それはだめだ 乘ろうとしたら足で蹴ってやる こんなに席も廣いのに がらがらなのに どうして? 本當にわかんないのか? 身ごもった女が乘れば赤んぼうを生む そうすれば赤んぼうが泣きわめくだろう 赤んぼうの泣き聲はまっぴらごめんだ 耳を塞ぐ そうだ、そう、俺もそうだった あんあん泣いたさ、悲しくてしきりに 本當に泣こうとする そうなると俺達は捕まるんだ さっきお前見ただろう? そいつは正に陛下が送ったやつなんだ 俺達を捕まえるために 間違いない そいつも陛下からもらった服を着てた 捕まったら足首を縛られる 鎖でだ 足首を触る マとウを交互に見ながら 足首が痛い、いまだに治ってない それ見ろ、 今度は首を締められるかもしれない しっかりしろ ヒヒ、精神は故鄕にあるだろ 違う、その言葉は違う 俺は口をぎゅっと噤んでやる 皆俺の話に反駁するから ずっと噤んでいるぞ それに越したことはないが ク、 心配するな 闇とは長くも短いものだ その果てには朝があるんだ そこが正に故鄕さ それじゃこの列車は上りかい? 下りだ 馬鹿、上りでも下りでもないや ただ行くだけなんだ 朝日は山の上にあるだろう? 馬鹿、海の下にあるんだ 窓ガラスにもあり皿の水の中にもあり どこにでもある 違う、朝日は 結局闇の果てにあるんだ そうだ、そうだ 三人は地団太を踏みぐるぐると回る だんだん速度が早くなり 絶頂に至った 皆あお向けに倒れる 喜悅の肉体言語
トランクの上に這い上がり あ、 息苦しい のどが渴いた 空氣が惡い 戶をちょっと開けよう 目を怒らせて 何だと? 馱目だ 外はもっと眞暗だ その闇が押し寄せると 俺達は盲人になるんだ 小錢一つ投げてやる人もいない でも少しだけ開けよう 息が詰まってたまらない 大きく息を吸ってみろ 目を大きく見開け ちょっとだけ我慢すればいいんだ それが藥だ クは大きく息を吸う マ、ウはクに 吸い込まれるかのように 一氣に息を吸う 馱目だ、少しだけ開けてやろう ウが最高だ 馱目馱目 ちょっと多めに見てやろう ク、後ろの方の戶を開けようと走り寄る しかしマが彼の足首をひっつかむ つんのめってはまた起き上がり 舞台の正面に飛び出す マが追って出る ウが彼の足首をひっつかむ つんのめる 二人は上になったり下になったりして轉がる クは舞台の端、だから 客席の方の想像のドアを開けようと頑張る 開かない 手で取っ手をつかみ兩足で踏ん張る やっと少しずつ開き始める 急に高くなる機關車の騷音 警笛が鳴る マ、ウが腰を抱きあい じたばたして 早く閉めろ ちょっと待て どうせ開いたんだから 息がさらにぐっとつまる 直ぐ良くなるさ 俺達お仕舞いだ 闇の中に埋められてしまう 盲人になる 閉めろ、早く閉めろ 闇が時には光になる 俺はその中へ行きたい このまま飛びおりようか? 勝手にしろ ウはマの腰を解き放し 飛び出し 馱目、故鄕はまだ遠いんだ 何するんだ? ウ、クを引っぱる マは素早く驅け寄り 戶を閉めてしまう 機關車の騷音も小くなって また背景音に敷かれる ウ、トランクの上で 頭を股の中に埋め座っている クの周りをくるくる回わる これは一連の事件だ 分析してみなければならない 徹底して掘り出さなければならない マもつられて回る どこから來たのか 誰が送ったのか 誰の陰謀か 恨みの關係かもしれない お金が問題か? 痴情か? けちくさい 汚い 吐気がする むかむかする ペッペッ ちょっとまて、お前俺が見える? そ、そう、そうだってば、どうした? また回り、おかしいな ついて回り、お前こそおかしいや 俺達は目が見える 見えないってことが原則なのに 原則がどこにある? 作ればいいだろう もうこれでいいんだ何でも そうかな? 俺の言うことだけ聞け よくなる、よくなるはずだ 本當にお前のせいで逃す所だった 俺達は搜査中だっただろ ぐんと立ち上がって、あっそうだった どんな顔付きの奴だろう? 鼠小僧みたいなやつだろう 違う、豚みたいなやつだろう そして外見上はすましたふりをしてるさ 脂肪の塊で僞善を隱し、いやらしく おい、お前か? 良く思い出せないんだよ 何しろ澤山の人を相手にするから ハハハ、そうだろう 目玉に欲情をいっぱい抱き 金お孃さん、今晩は一段ときれいだね どれ手をちょっと触って見るか? と言って拒絶されれば なぜ、私があまりにも年寄りだから? ハハハ、そうだいやらしく 熊みたいなやつ 狐みたいなやつ 奴は喜びが絶頂の時だけ 尋ねて來るんだ さっきもそうだった 以前にもそうだった 奴は足跡もなくやって來て 風のように消えてしまうということさ とにかく搜して鼻輪を通してやれ 首を拗って絞めてやらなけりゃ そうしたら兩手をすって許しを請うはずさ 手が擦れて無くなれば足でするさ 足も擦れて無くなれば? あんあん泣くさ ヒヒ、おもしろい 本當にいい氣味だ 行こう、捕まえに行こう 待て、奴は元々力が强いから 俺達の力では馱目だと思うよ 奴は柔道をした 跆拳道をした レスリングも、ボクシングも、 俺達こんなことしてないで クを連れて行こう そうだ、それがいい 三人は二人より力が强い ヒヒ、やつももう終わりだ お仕舞いだ 二人は喜んで手を打ってから ふとクを見る 寢ている ウがひそかに近付いて クの鼻に耳を傾ける 眠てしまった 夢を見ているみたいだ ぶつぶついってる どうしようか? とにかく起こそう 今ずいぶん氣持良さそうなのに 絶頂に達しているかもな? それはわからない ちょっと見てみろ あっちこっちとクの前後を探って 顔を覗き込みながら よく分からないが まだそうではなさそうだ いい、いい、起こそう 奴が近くに來ているはずだ 俺達が先手を打とう 奴が俺達同士で裂いて引っ搔いて 喧嘩させる前にやっつけよう そうしよう、待てどうやって起こすんだ? 心配するな、俺が起こすから ボタンを押すだけでいい マ、うずくまって座り クの顔を覗き込む 馱目だ 方法と手續きを また論議しなきゃ 考慮して見なきゃ 愼重を期さなきゃ 世論も考えなきゃ 利權も、面子も ウ、ふと考え込む マ、ウを眺める 俺に任せろ、俺がするんだ 俺に任せろ、自信がある 俺がするんだ 俺がするんだ どけ、どけ、 二人はお互いに引っぱり合う そうするうちに一つになり クの方に倒れる ク、急に大聲を出して ぱっと飛び跳ね逃げる 舞台を大きくぐるぐると回ってから 隅へ行って寄りかかり 二人を眺める 恐怖におののいた目 二人は起きてクの方に行く 來るな、来たら射つぞ 手でピストルをうつ振りをして そこで止まれ マとウはぼおっとする お前達は俺を殺そうと陰謀を企んだろ? 俺はみんな知っている ウは俺の腕を拗り マ、お前は眞っ靑な刀を 俺の首につきつけていた 全身冷汗でびっしょりだろ オシッコも漏らしただろ 助けてくれと哀願しただろう、卑屈にも 違う、俺は痛みが ずっと續くのかと聞いたね こいつ怖がりしもないね そんなこと、簡單さ 一氣に息の根を切ってしまうから? 痛みがずっと續くように 目の玉から拔くんだった 指から切ってしまうんだった 俺は死んだ、縛られたまま死んでいる 血をどくどく流しながら倒れた 一步近寄って、それは夢だ ウも近寄って、ばかそれは夢だ 來るな、そこでじっとしてろ、射つぞ 俺はまだ痛みを感じている 血をどくどく流しながら倒れた 俺の顔がはっきり見える 俺達はお前を殺そうとしなかった お前の助けを得ようと思ったのさ 犯人を捕まえに行こうとするところだったのさ あいつってやつは、あの 本當にひどい、あの ウ、お前が言え マや俺だけじゃなくて そうだ、俺達だけじゃなくて ウが、もっと近くに寄ってきて 俺達みんなの敵だ マも近寄り 俺達の敵さ ヤツを捕まえるということは 偉大なる遠征だ 偉大なる決斷だ いつの間にか二人はクに近付いていた クの手が力無く解ける 彼らはお互いに抱き合う 三人は舞台中央へ力强く步き出る その時大きく力强い太鼓の音が響く 彼らは儀仗隊のように散らばっては集まり 集まっては散らばり舞台全体を回り またトランクの前に集まる いそうな所はくまなく探した もう俺達の力量ではどうにもならない もうちょっと硏究しなきゃ 著名な敎授を招いて來て ばか、搜さなきゃならない肝心な所は搜さずに 俺はくまなく探した 搜さなかった所があったらそれは俺の責任ではない 俺も同じだ クお前は元々槪論だけ 懷に入れ步いてるヤツ お前こそ疑わしい所が多い ヒヒ、そうだクの懷には 法學槪論哲學槪論とにかく槪論だけ あっちこっち皆入れ步いて 俺は見た そうじゃない 眞理はいつも俺達のそばにある その言葉も槪論にあるんだろう 沈黙 あの…ちょっと… 槪論にあることばなら辭めろ 違うそうじゃなくてあの… マとウは見合わせながら笑う 俺達別のとこに行って話そう 何なんだよ とにかくついて來い クは舞台の後ろに 二人を連れて行く 彼らの耳に何かささやく わかっただろう? 二人はうなずく ク、左側を示し マお前こっちを回れ 右側を示し ウお前はこっちを回れ 俺は正面に行く 氣を付けろ覺悟しろ 怖がってはいけない 準備した? 彼らはうなずく それじゃ、始めるぞ 三人はトランクに向かって 用心深く近寄り始める 足を運ぶ度に 不吉な太鼓の音が響く いよいよトランクの周圍に集まる 皆攻撃態勢だ クが先ずトランクを開け始める 急に舞台が暗くなって 彼らにだけ丸く スポットライトが投げられる 三人は內容物を取り出す マは男の服を ウは女の服を クは仮面と鍵の包みを取り出す 彼らはうれしくて走りながらからからと笑う 地団太を踏んでぐるぐると回り始める ますます早くなって絶頂に至ってから スポットライトの外に出て倒れる 沈黙 舞台が明るくなる 立ち上がって、おかしいな? 立ち上がって、お前もそうか? 俺もそうだ 前に息切れしたが 俺もそうだった 俺もそうだった 奴をやっつけたからそうなのかも やっつけたって何をやっつけたんだ 奴は逃げたんだ 服だけ脫ぎすてて それでも同じだ もう奴には足場がなくなっんだから 逃げたのもやっつけたと同じさ 又戾って来られる限りその考え方は間違っている その可能性までもやっつけることなのに 可能性には不可能性も含まれている いらぬ心配するな クの言ってることが正しい クのおかげで俺達最後まで 樂しめるようになったんだ 侵略もなく 謀略もなく 內幕もなく 何もない ない 三人は一緖に手を握る 万歲、万歲、万歲 手を高く上げる ところでだ 俺達これを一回ずつ着てみよう それは良い考えだ もし奴が、もしもだ 二人の機嫌を伺う よし話してみろ 奴がまた來たとしても 俺達だって気が付かないだろう、 そうだろう? しかしこれはどうやって着るんだ ばか、こうやってこうやって 着る振りをしてから ウ、お前が敎えてやれ そう俺が先に試着してみるから その通りにしろよ 上衣から着る ボタンの穴が後についている女の服だ マも同じように着る 背廣を逆に着る クはウのボタンを先にはめてあげ マのボタンをはめる ウがスカートをはく マはウの機嫌を伺い ズボンをはこうとするが 片方に兩足を入れようとする ふらつく ころぶ また起きて繰り返す ウとク、脇を抱えて助け まともにきちんと入れられる しかしボタンの穴が後になった 彼らの姿は本当にこっけいだ さあやっとできた これでいいのかい? あちこち見ながら いいんじゃないか? ところでおまえの服がないね ああそうだな 心配するなこれをつければいいさ ク、 仮面をつける それもいいんじゃない? ク急に、ガオ- 二人はびっくり仰天してあお向けに倒れる はずしながら、どうだ? いいだろう? 立ち上がりながら、そ、そうだないいかもしれない 鍵の包みを見せて これはもっといいだろう どんな扉でもすべて開けることができるんだ 必要な時言え やあ、それはいい やあ、あいつよほど急いでいたようだな こんなものまで置いて行くなんて どれ俺にもちょっと見せろ 馱目だ、本當に必要な時だけ言え やあ、女房にやれば本當に喜びそうだ 女房が喜んで眠ることも出來ないだろう ヒヒ、俺もおんなじさ マ、考えに浸る ウ、考えに浸る 機關車の速度がだんだん落ちていく もう簡易駅だ もうちょっとで故鄕だ 俺達正氣に變えれるんだ いいや、簡易駅はまだある 何んだと? ばか野郞 鍵を取って見せ これのせいでおかしくなったな いやその服を着たからおかしくなったんだ 脫げ早く脫げ 女房にやる 俺は着れそうな服が一つもない 絶對俺が着てやる よし、それじゃ服を脫いだやつに 鍵をやる本當にやるぞ ウ、マの機嫌を伺う マ、ウの機嫌を伺う 嫌なのか? 鍵の包みを高く持ち上げる ウが手を差し出す マも手を差し出す クはもっと高く持ち上げる 先に脫いだやつにやる いつのまにか機關車も止まった ここがまさに簡易驛だ 故鄕は次の驛だ 二人はそっと後退りし始める 後ろの鐵門に行き寄りかかる お互い同じ動作をする クを睨む もう一度最後に言う 服を脫いだやつに この鍵の包みをやる 二人は鐵門を素早く開け叫ぶ 嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ 俺は素足で步いて行ってやる 俺も裸足で故鄕へ行くぞ 二人は飛びおりる クの手が力なく下ろされる 座りこむ、孤獨になる それを退けようと身悶えする 急に客席から飛びおりる 皆さん 逃げたあの二人の奴は すぐ警察につかまって 手錠がかけられ 水拷問、電氣拷問、逆さ吊り そうじゃなければ不具の足、不具の腰、發起不能 それとも逃げている途中に彈丸が心臟をつき拔けるとか そうじゃない、山道森道拔け道一本道はまったく知らず レールの上だけを走っている途中汽車の車輪に敷かれ 犬死になるかも知れません 皆さん 私と一緖に故鄕へいらっしゃる方いないですか? 席も廣いです 步くよりずっと早いです 夢も見れるし、いないですか? 妻の前へ來て 奧さんはどこまでいらっしゃいますか? 鍵の包みを見せて これはどんな扉でも開けることができます 仮面を見せて これは顔をまんまと隱すことができるし 私と御一緖しませんか? 故鄕へ行きさえすれば 奧さんも正気に返ることができます いらっしゃいますか? 返事がない 彼は落ち込む 客席をかきわけて出る 舞臺に再び上がる 客席に向って 最後のこの機會を逃すんですね 最後のこの機會を… 彼は倒れる また孤獨が突然襲ってくる 身悶えする むっくりと起き上がり仮面をかぶり 踊り始める その時客席から 人々が一人二人と 舞台に上がり彼と一緖に 踊り始める やがて舞台は人でぎっしりとなり 踊りが絶頂に達し 一遍に皆倒れる 舞台が急に暗くなる しばらくしてから、懐中電灯が照らされる 乘務員だ 彼はトランクが開いてるのを見つけ 上がって來て舞台をくまなく照らして見る 舞台の床に倒れている 人々は見つけられなかった トランクを閉める 最初に置かれてあった場所にきちんとおく また舞台をさっと照らして退場 がらりと鐵門が閉まる 機關車がゆっくり出發し始める その音は初めに聞こえた 案內放送音とともに合わさってから ますます高くなり高潮を成す
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